認知症は、原因や症状の現れ方、進行の仕方がそれぞれ異なるいくつかのタイプに分類されます。なかでも代表的なものは「四大認知症」と呼ばれ、以下の4つが含まれます。それぞれで病態や対応のポイントが大きく異なるため、早期の適切な診断と治療方針の検討が重要になります。
アルツハイマー型認知症とは?
日本人の認知症の原因として最も多い疾患です。一般的に「認知症」と聞いてイメージする典型的な認知症のパターンは以下のとおりです。
すなわち、主に老年期に直近の出来事に関する記憶についての物忘れ(=エピソード記憶の障害)を中心にした認知機能低下から発症して、時間とともに緩やかに認知機能低下が進行します。最初のうちは買い物や料理などの複雑な動作ができなくなり、次第に更衣や入浴、排泄などの基本的な日常生活動作も自立して行うことが難しくなります。
そして経過中に、大事な物をしまい込んで忘れ、その記憶の欠損を補うために「盗まれた」と解釈する物盗られ妄想や、場所に関する見当識障害のため自分の家を家だと認識できずに徘徊する、といった「認知症の行動・心理症状(BPSD)」を呈することが多いです。
根治的治療は確立していないため、認知症の進行を遅らせることを目的に、コリンエステラーゼ阻害薬やNMDA受容体拮抗薬などの抗認知症薬を使用します。
血管性認知症とは?
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害の後遺症として生じる認知症で、全認知症の20~30%を占め、アルツハイマー型認知症に次いで多い疾患です。
一般的に、アルツハイマー型認知症に比べて物忘れの程度は軽い一方で、実行機能の障害が重い傾向があります。また運動麻痺、感覚麻痺、構音障害や嚥下機能障害などの神経所見が、早期から出現しやすいです。
治療としては、脳血管障害の再発予防に加え、リハビリテーションやレクリエーションを通じて抑うつや自発性低下の改善を目指します。
レビー小体型認知症とは?
認知機能の動揺性変化、繰り返す幻視、パーキンソニズム、レム睡眠行動障害(睡眠中四肢や体幹を激しく動かして暴れる、激しい寝言を言う)といった特徴的症状を来たす疾患です。
アルツハイマー型認知症と比べて、早期には記憶障害が目立たないと言われています。
認知症を発症する前からレム睡眠期行動障害、うつ症状、嗅覚低下、習慣性便秘などが生じることがしばしばあります。また自律神経症状もともない、便秘や排尿障害、失神などが問題になるほか、パーキンソニズムのため転倒しやすい点に注意が必要です。
進行予防のためにはコリンエステラーゼ阻害薬を用います。また、抗精神病薬に対する薬剤過敏性があるため、精神症状に対する使用には注意が必要です。
前頭側頭葉変性症とは?
前頭葉や側頭葉の萎縮により、言語や行動の異常が目立つ疾患です。臨床症状の違いから前頭側頭型認知症、進行性非流暢性失語、意味性認知症に分類されます。
アルツハイマー型認知症よりも若い時期、40~60代の初老期から発症する傾向があります。
人格変化や行動異常が目立つタイプでは、冷たく身勝手な性格に変化し自発性が低下する、時刻表のような決まりきった行動パターンを好む、万引きなどの反社会的行動をするといった、「我が道を行く行動」と呼ばれる行動パターンが特徴です。
言語障害が目立つタイプでは文法の異常と発語困難を中心とするケースや、文法や発語は正常でも単語の意味が解らなくなるケースがあります。
いずれにしても根治的な治療法はなく、対症療法や患者本人の特徴に合わせたケアが重要です。