認知症とは?
物事を正しく理解・判断し、適切な行動を正しくスムーズに実行する能力は「認知機能」と呼ばれ、日常生活や社会生活を営むために必要です。
専門的には、記憶、実行機能(遂行機能とも)、注意、言語、社会的認知および判断、精神運動速度、視覚認知または視空間認知の7領域に分類されます。
これらの認知機能が正常の加齢以外の理由で以前のレベルから著しく低下し、日常生活の自立を妨げるようになった状態のことを「認知症」と呼びます。
それぞれの認知機能とそれらが障害された際の症状には以下のようなものがあります。
- 記憶
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- 以前に言ったことを忘れて何度も同じことを言う
- 物を置いた場所を忘れて探し回る、貴重品をしまいこんで忘れてしまう
- 実行機能
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- 手順が解らず混乱してしまい料理ができなくなる
- 以前まで使っていた家電製品の使い方が解らなくなる
- 買い物に行っても上手く手続きが出来なくなる
- 注意
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- 必要な刺激にだけ注意を集中させられず、気が散りやすく話をよく聞いていない
- 複数の手続きに同時に注意を払うことができず同時並行の作業ができなくなる
- 言語
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- スムーズに話せない、言葉の意味を忘れる
- 社会的認知および判断
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- 他者の思考や感情を推測できない
- 同情や共感と言った心の動きが鈍くなって身勝手になる
- 精神運動速度
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- 思考や作業に時間がかかる
- 視覚認知または視空間認知
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- 知っている物や人を見ても解らない
- 知っている道なのに道に迷う、距離感が解らず車の接触事故が増えた
また、
といった症状を「認知症の行動・心理症状(BPSD)」と呼び、ほぼ全ての認知症症例はどこかの時点でこれを発症すると言われています。
BPSDは介護者に対する著しい負担となり、認知症の治療と介護を妨げる原因となります。
認知症は65歳以上の高齢者のうち約12%に生じていると推定されています。認知症は様々な疾患が原因となって生じ、代表的なものは以下のとおりです。
認知症の治療は?
慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏症などの疾患を原因とする、いわゆる「治療可能な認知症」を除き、ほとんどは進行性の疾患で、残念ながら現時点では根本的な治療手段は確立されていません。
そのため認知症の治療は、
- 抗認知症薬の使用や生活習慣病の治療などにより認知症の進行を可能な限り遅らせる
- 患者様本人とご家族が疾患の知識について理解を深め、認知症の進行による生活への影響に備える
- 介護者の負担に繋がるBPSDを治療、緩和させる
という方針に沿って行われます。
早期発見と早期診断により症状が軽い段階から認知症の進行を遅らせ、患者様本人の意思や人生観に沿った治療や介護の体制をじっくり整えることができ、残存する認知機能を鍛えて本人らしい生活を続けることにも繋がるため、「認知症になったら終わり」と悲観せず、早めの受診や相談をおすすめします。
軽度認知障害(MCI)とは?
正常とは言えないが認知症の診断も満たさない程度の認知機能低下があり、複雑な日常生活動作に多少の障害はあるが、基本的な日常生活機能は正常で生活の自立が保たれている状態です。
年間16~41%の人は正常な認知機能に戻るとされている一方、年間約5~15%の人が認知症に移行すると言われています。認知症への意向を防ぐ、または遅らせるために、この時期からの予防対策が非常に重要です。
特にアルツハイマー型認知症の場合、脳に蓄積するアミロイドβを除去し認知症の進行を遅らせる治療薬がこの数年の間に実用化されています。これらの薬は軽度認知障害から軽度認知症の段階に限り使用できます。
治療の選択の観点からも、軽度認知障害の早期発見がより重要視されています。