不安症とは?
周囲の刺激に対し、正常の範囲を超えた著しい恐怖や不安を抱き、恐怖や不安から逃れるために日常生活に支障を来す疾患の総称です。代表的な不安症とその症状として以下のようなものがあります。
- パニック症
- 突然に(多くは誘因なく)動悸、発汗、胸痛、めまい、呼吸困難などが生じ「このままでは死んでしまう」という強い恐怖にかられるパニック発作を特徴とする。
発作は通常数分でピークに達し20~30分で治まるが、何度も繰り返し生じる。
発作後「まだ発作が起きるのではないか」という強い不安に苛まれ(=予期不安)、家から出られなくなったり遠出ができなくなったりする。 - 広場恐怖症
- パニック症の随伴症状とされることもある。電車やバスなどの閉鎖空間、周囲に人が居ない広い空間、劇場や映画館など多数の群衆に囲まれる場所といった、すぐには逃げ出せない、助けを求められない上京に対して過剰な恐怖と不安を抱く。 その状況を回避するか、助けてくれる人を伴わせようとする。
- 限局性恐怖症
- 動物、自然環境、血液・注射・負傷、高所や閉所などの状況など、特定の物体や状況に対して過剰な恐怖と不安を抱き、それを回避するか過剰な苦痛を伴いながら耐える。
パニック発作のような症状を呈する。 - 社交不安症
- 会食、スピーチや演奏、会話など他者からの注目を浴びる社交状況に対して過剰な恐怖や不安を抱き、それを回避するか過剰な苦痛を伴いながら耐える。
- 全般不安症
- 周囲の多種多様の出来事について、自身では制御困難であるにもかかわらずほぼ毎日、かつ6ヶ月以上過剰な恐怖と不安を感じ続け、心配して思い悩む(=予期憂慮)。
常に緊張して集中できず、不眠や自律神経症状が生じる。
不安症の治療は?
様々な不安症がありますが、治療方法は概ね共通しており、薬物治療と精神療法、生活指導および環境調整により治療します。
不安症の発症には、危険や恐怖などの判断を司る扁桃体と呼ばれる脳の部位の過剰興奮が関係していると考えられています。この扁桃体の機能を抑制する方向に働くのが神経伝達物質のセロトニンです。
抗うつ薬の一種であるSSRIは、セロトニン濃度を増やすことで、扁桃体の過剰興奮を鎮静化させ、過剰な恐怖や不安を軽減することができると考えられています。
しかし、SSRIが効果を発揮するまでは1ヶ月ほどかかります。
そのため治療開始時など症状が強い場合は、早期に効果を発揮するベンゾジアゼピン系抗不安薬を、一時的・短期間併用することがあります。ただし、ベンゾジアゼピン系抗不安薬は依存と耐性が生じやすいため、漫然と長期使用することは避けましょう。
精神療法としては、疾患に対する正確な知識や漸進的筋弛緩法、自律訓練法といったリラクセーション法を身に着けることを目指します。能動的に緊張を緩和できるようにする心理教育から始め、疾患や症状に対する謝った認知を修正する認知再構成法のほか、なんとか我慢できる程度の恐怖や不安にあえて繰り返し暴露することで徐々に刺激に慣れること(=馴化)を目指す段階的暴露療法が有効とされています。
またアルコール、カフェイン、喫煙などの刺激物質を控えること、運動習慣を作り睡眠不足を避けて規則正しい生活リズムを確立するといった生活や環境の調整も必要です。