統合失調症とは?
外部の情報と自分の考えや感情とを適切に統合処理できないため、幻覚や妄想を中心とした様々な精神症状が生じる、代表的な精神疾患の一つです。
思春期から青年期に発症することが多く、時代や地域を問わず、約1000人に7~10人が発症するとされる、決して珍しくない疾患です。
主要な症状は「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3つに大きく分類されます。
- 陽性症状
- 現実的ではない突飛な考えにとらわれて訂正できない(=妄想)、現実には存在しない感覚を感じる(=幻覚、特に幻聴)、思考のまとまりがなくなる(=連合弛緩、滅裂思考)などの派手な症状
- 陰性症状
- 感情の変化や表現が乏しくなる、意欲が低下する、他人や社会への関心が乏しくなるなど、目立たないが社会生活の質を悪化させる症状
- 認知機能障害
- 記憶力理解力、学習能力、注意力など、日常生活や社会的役割を果たすために必要な能力の障害
発症からしばらくは明らかな陽性症状が目立つ急性期症状の再発と寛解を繰り返しながら経過し、再発の頻度が少なくなり、陰性症状や認知機能障害が中心になる慢性期に移行するのが典型的な経過です。
妄想や幻覚に対する恐怖や不安のため学校や仕事に行けなくなる、逆に反撃しようとして暴力に発展する、社会への関心が失われゴミ屋敷に引きこもるようになる、など社会的孤立の原因となりうる点が問題となります。また、自殺率が高く、約20%が自殺を試み5%が亡くなってしまう点も注意が必要です。
診断が確定した患者様の病歴を振り返ると、発症に先立って、自然に改善する弱い精神症状が一時的に生じる前駆期と呼ばれる状態があることが知られており、発症危険精神状態(ARMS)と呼ばれて注目されています。
発症から治療開始までの期間(DUP)が短いほど治療で改善しやすくなると言われており、発症前を含めできるだけ早期に診断し、治療を開始することが重要です。
このようなお困りごとに心当たりがあればご相談ください。
自分のこと
- 急に外の景色が不気味に変わってしまった気がする
- 急に周囲の人から嫌がらせをされるようになった
- テレビや新聞で自分のことを言っている気がする
- 自分の行動を実況中継してダメ出ししてくる声が聞こえる
- 自分の悪口を話し合っている声が聞こえる
- 考えていることが抜き取られてしまう
- 何者かが身体の中にいて、悪さをしてくる
- 電波をかけられて操られている
家族や知人のこと
- 急に身だしなみに無頓着になった
- 口数が減って表情乏しくなった
- 何かにおびえ、疑り深くなった
- 引きこもりがちになってきた
- 独り言が増えたり独り笑いをしたりするようになった
- 誰も居ないのに誰かに向かって話しかけることが増えた
- (そのような事実はないのに)盗聴やストーカー被害を訴えるようになった
統合失調症の治療は?
治療は薬物治療が基本です。抗精神病薬という種類の薬を中心に、補助的に抗不安薬、抗うつ薬、気分安定薬などを使います。薬物治療は陽性症状に対して効果を示すことが多いです。
統合失調症は、服薬治療をしていても16~25%が1年以内に再発、服薬治療を中断した場合は50~70%が再発する、非常に再発しやすい病気です。そのため薬物治療は長期間続けることが基本となります。
治療開始が遅れたり再発を繰り返したりするたびに脳障害が進行し、治療反応性が悪くなったり重症化・慢性化したりと予後が悪くなります。決して服薬治療を自己中断せず、服薬治療に対する不安や疑問、副作用の心配などについては主治医に相談するようにしてください。
なお、抗精神病薬に十分に反応しない、もしくは副作用のために十分な治療を行えないケースが20~30%あるとされますが、これらを治療抵抗性統合失調症と呼ばれます。この場合は、クロザピンという薬物を用いた治療や電気けいれん療法が選択されます。
薬物治療に平行して、
- 統合失調症や自分の症状のパターンについて学び対処方法を身につける認知行動療法(CBT)
- 運動・料理・園芸などの作業を通じて社会生活への適応能力を身につける作業療法
- 会話技能や薬の管理、家事など具体的な場面を想定して練習する社会生活技能訓練(SST)
など、精神療法や精神科リハビリテーションを行うことは非常に有意義で、特に薬物治療に反応しにくい陰性症状や認知機能障害に対する効果が期待できます。